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H27 創創成化学工学実験 1班

1班

 

1. 動機と構想

実験テーマを決める調査の際、牛乳からプラスチックを作ることができると知り、しかも家で作ることが出来ると分かったので、小中学生に理解・再現してもらえる常識子覆す実験だと思ったのでやろうと思った。

上記の理由から実験は家庭で手に入るものを中心に出来るようにしながら行なった。また、牛乳だけではなく豆乳でも同様に実験を行うこととした。

 

2. 原理

 a. 牛乳にはカゼインと呼ばれるタンパク質が自身の持つ負の電荷により反発しあいながら浮遊している。(これにより牛乳に入った光がカゼインにぶつかり散乱し牛乳が白く見える)

 

 b. カゼインに( H+を加えるとカゼインの持つ負の電荷が酸に奪われる

 

 c. 負の電荷が無くなったことでカゼイン同士が互いに引き寄せあうことにより沈殿する(等電点沈殿と呼ぶ)

 

ここでガーゼ等を用いて濾し取ることでカゼインを分離することが出来る。(このとき残った液はホエーと呼ばれる)

 

 d. カゼインは乾燥させるとカゼイン同士の間にある水分が抜けて結びつく(縮合

 

 e. 圧力をかけるとカゼインが大きな分子となる(重合

 

f. d とe を繰り返すことによりカゼインが強く結びつき硬くなっていく。なお、豆乳はカゼインが豆乳タンパクに変わっただけで原理は同じため省略する。

 

3. 実験操作

 ・基礎実験

  1. 秤に載せたビーカーに牛乳を静かに注いで重さを量る (参考:牛乳約 150 g につき約 50 g のカゼインが取れる)
  2. 三脚に載せてガスバーナーで加熱する(加熱中に、秤でレモン汁を牛乳の重さの10分の1の重さ分量り取る)
  3. 80 ℃になったら火を止めてレモン汁を静かに注ぐ
  4. ガラス棒で静かにかき混ぜて少し置く
  5. 別のビーカーにガーゼをつけて静かに4.を注いで濾し取る
  6. ビーカー内の液は捨て、水を入れて濾し取ったカゼインを洗う (上下に動かし、水を替えるのを最低4回繰り返す)
  7. ラップにカゼインを取り出してキッチンペーパーで水分を抜く (キッチンペーパーが濡れなくなるぐらいまで)
  8. ラップをかぶせて、上からラップの芯で伸ばして空気を抜く
  9. ラップをはがして折り畳み、5 ~ 8 mm位の厚さにする
  10. 型抜きで抜いたらクッキングシートに載せる
  11. 乾燥機に入れて 90 ℃で硬くなるまで加熱する (時々取り出して油を拭き取り、指で押して圧力を加える)
  12. 自然に乾燥させる

 

豆乳も同様の操作である

キッチンペーパーはドライヤーで乾かして再利用した

以上が実際に行なった基礎実験である

家庭で行う場合は、以下の点を変えればいい

 

  1. ビーカーではなく鍋で重さを量る
  2. 鍋を火にかける
  3. 沸騰するまで加熱(温度計があるなら 80 ℃)
  4. ガラス棒 → 菜箸
  5. ガーゼ → 綺麗なタオル
  6. 鍋の中の液は捨て、水を入れて濾し取ったカゼインを洗う(上下に動かし、水を替えるのを最低 4 回繰り返す)
  7. ラップにカゼインを取り出してキッチンペーパーで水分を抜く(キッチンペーパーが濡れなくなるぐらいまで)
  8. ラップをかぶせて、上からラップの芯で伸ばして空気を抜く
  9. ラップをはがして折り畳み、5 ~ 8 mm位の厚さにする
  10. 型抜きで抜いたらクッキングシートに載せる
  11. 電子レンジで 15 秒ほど加熱取り出して水分を拭き取り圧縮、15秒加熱、拭き取って圧縮・・・以下硬くなるまで繰り返す
  12. 自然に乾燥させる

 

以上の点を変更すれば家でも作ることが出来るが硬さはそんなには強くなくなる。その場合は型抜きの厚さを厚くするといい。

 

また加熱しすぎると焦げたり、中央が膨らんで破裂するので注意が必要である。

↓は失敗してクッキーの様になったプラスチックの画像である

 

 

4. 応用実験

 A. カゼイン + 豆乳の混合実験

動機牛乳でも出来るのならば、同じ乳と付く豆乳でも出来るのではないか?また、混ぜ合わせてもきちんとプラスチックが出来るのか?と思ったため
実験方法量り取る段階で豆乳と牛乳を質量比で色々な割合に混合して加熱、成形、乾燥を行なった。

 

 B. 着色実験

動機調査中にカゼインは簡単に着色が出来ると有ったが、食紅を加えるタイミングにより着色の仕方に違いが出るのではないかと疑問に思ったため
実験方法加熱してから酸を加える前と後それぞれで食紅を加えた

 

 C. 消臭実験

動機完成したプラスチックがどれも牛乳臭かったので、脱臭効果のある炭を使えば臭いが取れるのではないかと考えたため
実験方法加熱後と加熱洗浄後にそれぞれ墨の粉末を加えて混合した

 

 D. 成形実験

動機クッキーの様に自由に成形できるが、形により強さに違いが出るか確かめたかったため
実験方法成型時に数種類の型を用いて成形、乾燥させた

 

 E. 燃焼実験

動機石油由来のプラスチックは燃えるが、カゼインプラスチックは燃えるのか確認するため
実験方法ガスバーナーで乾燥させたプラスチックに火をつけてみた

 

 F.溶解実験

動機乾燥させて作ったため、水分に対する耐性を確認するため
実験方法沸騰させたお湯の中にプラスチックを入れ 10 分間加熱した

 

 G. ホルマリンによる硬化実験

動機工業的にはホルマリンを用いて製造しているそうなので、本当に出来るのか確かめるため
実験方法成形後ホルマリン溶液に 3 週間漬けてみた

 

 H. 耐久実験 1

動機プラスチックと名乗る以上ある程度の強度が必要であるので、静かに長くかかる力への耐久性を確認するため
実験方法 1 mm × 2 mm × 1.5 cm になるように成型して乾燥させたサンプルの真ん中に紐を掛け、橋のように渡して紐に重りをつけてどこまで耐えられるかを調べた。各割合 3 回行い、平均を取った。

 

図 実際に耐久試験に用いた試料

 

 I. 耐久実験 2

動機瞬間的にかかる力に対する耐久性を調べるため
実験方法一関高専の専攻科棟の各階から試料を落下させた (牛乳 : 豆乳= 2 : 8 の試料で行なった)

 

 J. 生分解性実験

動機カゼインプラスチックは生分解性を持つことを確認するため
実験方法校庭で採取した土にプラスチックを 2 週間埋め、 1 週間毎に取り出して経過を観察した

 

5. 実験結果

 A. カゼイン+豆乳の混合実験

→ 豆乳を含む割合が高いほど多く分離できたがその分成形が難しかった。また豆乳が多いと加熱した時により硬くなるが、成型時よりもふたまわり程縮んだ

 

 B. 着色実験

→ どちらも綺麗に着色したが、酸の前に加えた方が塊が無くより綺麗だった

 

 C. 消臭実験

→ どちらも乾燥前は灰色だったが、乾燥後は真っ黒になり牛乳臭さは消えていた(割ると内部に閉じ込められていた臭いがあふれだした)

 

 D. 成形実験

→ 星形・花形・ハート形・熊型・棒状はいずれも割れやすかったが、丸形は結構硬かった。厚さは厚い方が硬く、大きさは小さい方が割れにくかった。

 

 E. 燃焼実験

→ 火は燃え移ったが、すぐに消えて肉やスルメが焦げた匂いがした。また、プラスチック自体は炭化しただけだった。

 

 F. 溶解実験

→ 周りの所が少しぼろぼろと取れたが、全体は溶けも崩れもしていなかった。

 

 G. ホルマリンによる硬化実験

→ 成型時よりも少し硬くなったが、簡単に折れてしまった

 

 H. 耐久実験 1

→ 牛乳 10 割より牛乳 2 割 : 豆乳 8 割が一番強いと分かった。

 

 混合割合 
 牛乳:豆乳 
 耐えられた最大の重さ[g] 
 ①  ②  ③  平均 
10:0100190280190
8:290110200133
5:550558563
2:8270120320237
0:1011080120103

 

 I. 耐久実験 2

→ サンプルによって個体差があったが大体 3 階位の高さまでは耐えることが出来ると分かった

 

 サンプル名→ 
 階数↓ 
 A  B  C  D  E 
5階×××××
4階××××
3階××
2階
1階

 

 J. 生分解性実験

→ 土に植物が生えてきて、掘り返してみると土の塊が出来ていた。 それから土を慎重に取り除くと、硬いプラスチックがカマンベールチーズの様に柔らかくなっていて、さらに白菜の漬物が腐ったような悪臭がした。豆乳の多い方が少しだけ早く分解が進んでいた。

 

図 実際に耐久試験に用いた試料

 

6. 考察

 A. カゼイン+豆乳の混合実験

豆乳の方が豆乳タンパク間の水分が多く抜けやすいためその分縮み、キッチンペーパーでの脱水で水分のほとんどを逃がしてしまい表面が乾燥することによりぼろぼろになりまとまり辛かったのだと考察する。一方牛乳は水分が少ないがその分カゼインが密になっており、さらに最低限の水分を保持することが出来るのでまとまりやすく縮みもしないのだと考える。

 

 B. 着色実験

酸を加えた後だとカゼインがくっつき表面積が少なくなってしまうため上手く着色が出来なかったのだと考える。

 

 C. 消臭実験

加熱前は水分を含むためカゼイン間の距離が少し広いのでカゼイン本来の白さがまざり灰色に見えるが、乾燥することでカゼイン間の距離が縮み、より多くの波長の光が捕らえられ真っ黒に見えたのだと考察する。

 

 D. 成形実験

星や花・ハート・熊形は力がどこか一点に集中しやすいため割れやすいが、丸は力が上手く分散されるため割れにくかったのだと考える。厚いのは単純に層が厚いため割れにくく、小さいのは力が加わり辛かった為だと考察する。

 

 E. 燃焼実験

加熱することで内部に含まれている水分が出てきたことにより燃えづらかったのだと考える(事実火に当て続けると水分の様なものが染み出し溶けるように燃えていった。臭いに関してはそれがタンパク質特有の匂いなのだという事で結論付けた。

 

 F. 溶解実験

泥団子やおにぎりの様な、力によって固まったのではなく分子レベルでの結合の為簡単には壊せないので特に溶けることは無かったのだと考察する。

 

 G. ホルマリンによる硬化実験

ホルマリンの濃度が薄かった可能性を考えた。他には成型前の脱水が足りずホルマリンによる脱水量を上回る水分を含んでいたなどが上手くいかなかった原因として考えられる。

 

 H. 耐久実験 1

A での考察に書いた通り、最初の水分量により結合力に差が出るのが一番の理由として考えられるが牛乳10割よりも強い所をみると、豆乳タンパク8割の結合の間にカゼイン2割が繋ぎ手として結合することで硬くなったのだと考える。

 

 I. 耐久実験 2

4 階以上だと位置エネルギーが大きくなるため、耐えることが出来なかったのだと考える。

 

 J. 生分解性実験

植物が成長してきたことから、きちんとプラスチックは分解され栄養になっていると推測される。豆乳の方が分解が早かったのは、A で挙げた通り豆乳は水分の出入りが容易なため水分が染み込みそこから分解されていったからだと考察する。

 

7. 感想

  • プラスチックを作るにあたり、加熱時間・分量・撹拌する量・脱水量・形・大きさ・ 厚さ・乾燥時間・乾燥温度・圧力と様々な要因が絡むため毎回同じように作ることが出来ず、難しいと感じると同時に改良点を考えるのを楽しく感じた。
  • 実験操作自体はかなり地味だったので周りの班の方が楽しそうに見え、自分たちのやっている事が面白いのか自身が無いまま当日を迎えたが、発表を聞いてお客さんが驚いたり感心してくれるのを見て自分たちがやってきた事は間違っていなかったのだと感じることが出来た。
  • 発表の最初は手探りだったけど、繰り返すうちに他のメンバーのいい説明を取り入れ最終的には班員全員で同時に4グループまで説明することが出来るようになったのは大きい成長だと思った。
  • 普段の実験のようにテキストが存在しないため実験が上手くいっているのかも分からず、改めてテキストの有難さを感じたとともに、これから先の自分たちで考える力がついたと思う。
  • テレビや雑誌などでのプラスチックや牛乳、カゼインという単語に過剰に反応してしまうようになったのは意外だった。
  • 生分解性実験はもっと早くやればよかったと思うと同時にやはり計画は大事だなと改めて思った。
  • 実演が無いので不安だったが、各工程のサンプルやモデルを置くことでかえってスムーズに説明をすることが出来た。
  • 総じて実験を成功させるための発想力、目を引くポスターを作るアイデアやまとめる力、プレゼンテーション能力など様々なスキルがレベルアップしたと思う。

 

8. 高専祭の様子

 

 

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